かつて島田は江戸時代、箱根八里は馬でも越すが、越すに越されぬ大井川と読まれた東海道53次の宿場町である。その市内から北に10キロほど山奥に入った山腹に千葉山智満寺はある。天台宗の古刹である。国の重要文化財(important treasure)に指定されている。静岡県には国宝(national treasure)に指定されている歴史的な建築物やそれに附随する彫刻等の美術はなく、貴重な歴史遺産ある。
長い石段を上ると仁王門があり左右に金剛力士像が構えている。さらに20段程石段を上ると中門がある。中門をくぐると、そこには地上にはない別世界がある。山の斜面をならして締め固めた土の小さな境内は周囲を杉の木立に囲まれ、その空間はひんやりとして回廊の中にいる印象である。
|
本堂は茅葺きの入母屋の屋根で、本堂の内陣には御堂の形状をした大きい厨子があり、厨子の中に納められた本尊は千手観音菩薩像の秘仏で60年に一度開帳される。今川、徳川家も非常に手厚く保護したと伝えられ、本堂の天井には葵の家紋が描かれている。現在こそ柱、壁、天井に塗られた色彩が褪せているが当時は朱色に彩られた密教の寺であったであろう。
かつて中学の遠足で訪れた時に本堂の縁の下に蟻地獄を発見し、蟻を落としては観察した事を覚えている。殺生に背く行為であったと、今にして思う。
千葉山智満寺ホームページ
|